品質保証


全社にまたがる品質保証システムを構築し、取引先・委託先との連携強化も加えた品質保証システムの継続的改善や工場の生産活動を中心とした品質管理の強化に取り組んでいます。2021年度より、これまで環境管理の中で取り組んできた化学品・製品安全の分野を、品質保証の枠組みに取り込み、新体制のもとで、お客様からの満足と信頼を得るための活動を継続して取り組んでいます。
品質方針の展開
品質方針 |
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当社はCC10に定められた行動基準に則り、顧客に信頼される製品を安定的に供給し、社会の発展に貢献するために、以下の品質方針に基づいて活動する。 |
(1)顧客の品質要求を実現し、満足と信頼を得られる製品とサービスを提供する。 |
(2)品質保証システムを構築し、継続的に改善する。 |
(3)品質管理レベルの向上を推進し、安定した製品品質と生産を確保する。 |
品質方針の浸透で、企業品質の向上を図る
「品質方針」は、品質保証システムを構築すること、また満足と信頼を得られる製品とサービスを安定的かつ継続的に提供していくこと、そして「品質」と名の付く部門だけではなく、すべての就業者が自らの業務の質を高めていくことが企業品質の向上につながることを示しています。社内意識調査において「品質方針」に加え「品質方針を遂行するために、自身が果たすべき役割」の理解度を調査し、品質方針が社内に浸透していることを確認しています。
品質保証システムによる品質マネジメント
「方針管理」「日常管理」「教育・育成」の柱で活動
当社は、下図に示す品質保証システムを構築して品質マネジメントに取り組んでいます。
子会社も含めた全社の品質保証、品質管理に係る組織を品質マネジメント組織と称して、品質部門間の連携を強化するとともに、「方針管理」、「日常管理」、「教育・育成」を三つの柱として活動しています。日常管理における標準書改定時には、関係部署も交えた教育を着実に実施しています。
サプライチェーンにおける品質マネジメントの構築
取引先・委託先管理の仕組みを標準化
当社工場で原料を仕入れてから製品製造、出荷に至る過程だけでなく、製品を出荷してからお客様にお届けするまでの過程(輸送、保管、荷役等)も含めたサプライチェーン全体にわたる品質保証システムをより盤石にするため、取引先・委託先との連携を強める取り組みを実施しています。2021年度は、取引先・委託先管理の仕組みの標準化を実施しました。
データインテグリティへの対応に向けた取り組み
検査データの一元管理を推進
製品検査を確実に実施していることの実証、検査データの誤入力・改ざん防止のために、検査データの手入力・転記作業を削減し、自動取込・自動転送等のデータインテグリティを確保した仕組みの構築に取り組んでいます。こうした検査データを一元管理する仕組みを構築することで検査データの信頼性向上につながります。
品質教育の実施

教育の様子
幅広い分野の教育と資格取得を推進
品質マネジメントへの意識向上や、品質活動の活発化、品質管理レベルの向上を図るため、様々な教育プログラムを企画・実施しています。2021年度も前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染予防のため、オンライン教育や動画配信を取り入れました。品質管理手法のスキル向上を目的としたQC(品質管理)検定取得については、感染予防のため受験を見送りました。
【2021年度 品質教育実績】
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内容 | 目的 | 2021年度実績 | |
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意識教育 | コンプライアンス教育、 品質方針教育 |
品質不正や品質リスクへの感度を高める 品質方針を理解し、自らの役割を認識する |
対象:全社 開催時期:下期(eラーニング) |
知識・スキル教育 | 営業部門向け品質教育 (社内講師) |
業務品質の向上を図り、関係部署との連携強化、顧客への迅速かつ誠実な対応を目指す | 対象:営業部門 開催時期:上期(1回) |
工場製品に関する技術教育 (社内講師) |
生産工程を学び製造部門と共通認識を持つことにより品質検査の意義への認識を高め、部門間連携を強化する | 対象:工場品質管理部署 開催時期:通期(全10回) |
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内部監査員教育 (外部講師・社内講師) |
内部監査員のスキルアップを図り、内部監査の改善・活性化、品質マネジメントシステムの改善につなげる | 対象:ISO内部監査員 開催時期:通期(全9回) |
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品質管理手法・解析手法 (外部講師・社内講師) |
信頼性評価や原因分析などの手法を習得し、品質管理・品質保証の現場で活用する | 対象:品質管理部署ほか 開催時期:通期(全15回) |
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資格取得推進 | QC(品質管理)検定 | 工程管理および小集団活動にQC手法を活用し、品質管理レベルの向上、品質活動の活発化を図る | 対象:全社(受験見送り) |
品質マネジメント組織への監査
社内6部署を対象に実施
品質保証部では、ガバナンス強化およびリスクマネジメントの一環として、2018年度より品質マネジメント組織(子会社:丸善油化商事㈱、サンプラック工業㈱を含む)に対し品質マネジメント監査を実施しています。
2021年度は、社内6部署に対し、前年度監査のフォローアップおよびSDCA※による日常管理の実施状況の確認を重点項目として監査を実施しました。また、前年度に引き続き、営業部門に対して取引先・委託先管理に関する監査を実施しました。重大なリスクや不適合はありませんでしたが、一部課題が確認され、さらなる改善を図っています。
※SDCA(Standerdize-Do-Cheak-Act):標準化、実行、評価、改善のサイクルを回すことで、品質の向上等を目的した改善手法
【2021年度 品質マネジメント監査実績】
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監査方針 | 取引先・委託先管理を考慮し、営業部門に対して定期監査を実施する。 従来の品質マネジメント組織に対しては、前年度のフォローアップとSDCAによる日常管理の実施状況の確認を中心に実施する。 |
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監査結果 | 被監査部署 | 不適合指摘 | 改善の機会 | 褒賞 | |
千葉工場 品質管理課 | なし | 2件 | 2件 | ||
千葉工場 ポリエチレン開発課 | なし | 5件 | 2件 | ||
機能化学品部 品質保証Gr | なし | 3件 | なし | ||
研究所 機能性樹脂品質管理課 | なし | 1件 | 2件 | ||
営業本部 基礎化学品一部オレフィンGr | なし | 3件 | なし | ||
営業本部 化成品部溶剤Gr | なし | 2件 | 2件 |
クレームへの対応と実績

*品質保証委員会は、活動期間が以下のとおり変更されておりますが、2021年度の実績に合わせて、年度実績に置き換えて再計算しています。
(2017年4月~12月、2018年1月~12月、2019年1月~12月、2020年1月~2021年3月、2021年4月~2022年3月)
クレーム4件に適切に対応
当社では、お客様からの製品品質に関する声に速やかに対応するために必要な事項を「品質クレーム処理規程」に定め、迅速な対応や是正措置を行うことで、顧客満足の向上につなげています。2021年度は、前年度より件数は減少しましたが、ヒューマンエラーが原因のクレームが4件発生しました。
2022年度は、発生したクレームに対して関係部門が連携して初期対応を充実させ、事態の早期解決に取り組んでいきます。
化学品・製品安全
(1)国内外の法規制等への的確な対応
化審法、安衛法および、海外法規制に的確に対応
国内においては、「化学物質の審査及び製造等に関する法律(化審法)」の少量新規化学物質や低生産量新規化学物質申請を継続して行っています。また、「労働安全衛生法(安衛法)」の通常申請を適時実施しています。
海外法規制対応として、欧州に輸出する製品については「化学物質の登録・評価・認可および制限に関する規則(REACH)」に基づき、欧州化学品庁への化学物質登録や情報管理として化学安全アセスメントレポート(CSR)の更新を行っています。欧州以外においては、韓国やベトナム、トルコ、中国などで、必要に応じ化学物質の予備登録や登録を進めています。
また、化学メーカーとして製品ライフサイクルの各段階において化学物質の法規制に適切に対応するために、関連部署への教育を実施し、法規制の理解とコンプライアンス意識の向上に努めています。
(2)製品含有化学物質管理の運用整備
「製品含有化学物質管理基準」に基づく化学物質管理を推進
製品に含有される化学物質の情報を適切に管理するため「製品含有化学物質管理基準」を定め、これに基づき国内外の法規制や、業界が定めた化学物質管理基準等の確認を進めています。また、購入する原材料等に含有される化学物質の情報入手に努めるとともに、製品の組成および微量不純物の含有の有無等の把握に努め、製品に含有される化学物質の情報の一元的な管理体制の構築に取り組んでいます。
お客様から依頼される国内外の化学物質管理や化学物質の安全な取り扱いに関する法規制への該非判定および規制対象物質の含有調査等についても、これらの情報を用いて回答を作成し、適切な情報提供を推進しています。
- 【調査等の主な内容】
- 化審法、安衛法等の国内規制に関する事項
- REACH SVHC※認可対象候補物質や制限対象物質に関する事項
- 国外法規や各国既存化学物質リストへの収載有無に関する事項
- その他製品含有化学物質に関する事項
※SVHC(Substances of Very High
Concern):高懸念物質
健康や環境への有害性のある物質で、欧州における化学物質の登録・評価・認可および制限に関する規則(REACH)において定義される輸入や使用について認可が必要な物質(認可対象物質)を定める前段階としての認可対象候補物質。
(3)原料、製品などの危険性・有害性の表示、通知の推進
JIS改正※1に適切に対応
化学品・製品の危険有害性情報分類と表示(GHS※2)に関する分類方法と情報伝達に関するJIS改正が2019年5月に行われたことを受けて、当社の製品等の安全データシート(SDS)およびGHSラベルの改訂を実施しました。また、陸上輸送において必要となるイエローカード※3についても、見直しを進めています。

安全データシート(SDS)

GHSラベル

イエローカード
※1 JIS改正:
国連GHS文書改訂6版に基づくJIS Z 7252及びJIS Z 7253の改正。JIS Z 7252は「GHSに基づく化学品の分類方法」、JIS Z
7253は「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法―ラベル、作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」で、化学品の分類や危険有害性の周知基準について規定しています。
※2 GHS:
化学品の分類および表示に関する世界調和システム[Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals
(GHS)]は国際連合によって策定された文書であり、世界の多くの国で利用されています。
※3 イエローカード:
化学物質や高圧ガス輸送時の万一の事故に備え、ローリーの運転手や消防・警察などの関係者が取るべき処置を書いた緊急連絡カード。