安全管理

当社では「安全ナンバーワン企業を目指す」を経営方針の一つとしており、「安全は、経営の第一原則であり、企業の使命である」と考えています。また行動基準(CC10)の中でも、いかなる事故、災害の危険をも予知し、その防止に努めることで無事故・無災害を継続することを誓っています。
当社の安全に係るすべての活動を「安全ナンバーワン活動」とし、千葉工場、四日市工場をはじめ、全社で安全管理の一体的な推進を図っています。
保安防災
(1)産業保安事故防止に向けた取り組み
産業保安に対するコミットメント
安全文化の醸成と自主保安活動の促進
当社では、産業保安に対するコミットメントとして、社長が 「安全宣言」により安全優先の理念・方針を、すべてのステークホルダーに対し発信しています。またCSR委員会は、定期的に千葉工場・四日市工場に対して保安防災に関する査察を行い、委員長自ら現場の保安の最高責任者として、作業環境の実態や安全管理について、訓練や定期整備の実施状況などを確認しています。2020年度からは新型コロナウイルスへの対応で事業所間の移動を制限したことにより、従来と同じような現地に入る査察は困難な状況となりましたが、委員長からの現場へのメッセージ発信を行い、経営トップの安全へのコミットメントを明確にしながら、下期からは、タブレットを活用したリモート査察を行うなど自主保安体制の向上を図っています。
2021年1月CSR委員会における社長メッセージ
リモートでのメッセージ発信
新型コロナウイルス感染対策を講じながら日々業務を遂行していただき、心から感謝しています。皆さんの尽力により事業を継続できていますが、引き続き感染対策には緊張感をもって取り組んでいただきたい。
CA1活動は当社の安全文化醸成のため、活動成熟度の向上を目指す安全活動として行われています。初期は5S活動が中心でしたが、現在では着実にステップアップしていると感じています。2020年は、無事故・無災害を目標としているものの、休業災害1件、不休業災害が12件発生してしまいました。今一度『忘るな安全第一』の原点に立ち戻って、無事故・無災害を目指しましょう。この10年で世代交代が急速に進んでおり、安全中期5ヶ年計画の重点施策である「人材育成の徹底」は最重要と考えています。ベテランから次の世代へ技術伝承するとともに、事故情報を積極的に活用し、リスクの低減を推進していきましょう。2021年も大型プロジェクト工事が進行中であり、通常時よりリスクが高くなる要因を含んでいます。無事故・無災害で業務を遂行するようお願いします。
安全文化の醸成と自主保安活動の促進

当社では、様々な取り組みにより、安全文化の醸成と自主保安活動の促進を図っています。
CA1(ChemiwayAnzenNo.1)活動は、部署を単位とする全員参加の安全活動です。活動開始当初は5S活動など身近な活動が中心でしたが、現在では自ら問題を発見しその解決に向かって挑戦する「問題解決型」段階へと進化してきました。年1回、全部署がその成果をポスターにし、報告し合うことで社内事例の水平展開を行います。さらに優秀な活動をした部署は改めてCSR委員会において発表し、表彰されます。また、リスク低減のための改善提案活動では、現場のリスク低減に最も貢献があった改善の提案者や、保安防災、労働安全に関して特別な功績があったと認めた者を安全功労者として表彰しています。
(2)各工場の安全活動の取り組み
設備災害・事故防止の取り組みと発生件数
自主保安の基本は自ら設備の検査を行って劣化具合を評価し、適切に補修することでトラブルの発生を未然に防止する ことです。
当社においても設備の高年次化に伴う外面腐食が大きな課題となっているため、千葉工場・四日市工場では中長期計画に基づき、全設備の外面腐食検査を網羅的に行い、維持管理に努める専任チームを立ち上げています。
また、急速に若年化している保全部門の従業員の経験を補うため、各種教育の充実を図っています。
【異常現象件数】(暦年)
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年 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 |
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件 | 0 | 1 | 3 | 3 | 0 |
※2020年は、暦年から年度管理への移行期間として2020年1月から2021年3月分を掲載
安全管理システムをもとに活動
千葉工場・研究所の安全管理システムは、高圧ガス保安法の認定基準・ボイラー等の認定要領、およびOSHMS基準※要求事項に準拠して制定したもので、保安および安全衛生レベルの向上を目指しています。四日市工場でも、千葉工場と同等のシステムで活動を行っています。
※OSHMS:Occupational Safety and Health Management System 労働安全衛生マネジメントシステムの略

防災体制と訓練実施状況

合同事業所防災訓練AK製造装置の様子
(千葉:2020年11月20日)
千葉工場・研究所および四日市工場では、石油コンビナート等災害防止法に基づき、災害時は工場長が最高責任者となる自衛防災組織を編成します。また、コンビナート各社と共同防災組織を設置し、災害時には消防活動の相互応援を行います。さらに、コンビナート内の大容量の石油タンクを保有する企業間で大容量タンク火災用大型消火設備を共同保有し、災害に備えています。
2020年度は、千葉工場、四日市工場ともに2回(机上1回、実働1回)の訓練を実施しました。

四日市工場防災訓練
(四日市:2020年5月26日)

四日市工場机上訓練
(四日市:2020年12月17日)
安全トピックス
東日本大震災の教訓を後世に伝える取り組み
2011年3月の東日本大震災により当社アルコール・ケトン製造装置が被災し、翌年3月に同装置の復旧工事が完成したことから、毎年3月を「保安防災を考える月」と位置づけています。2021年3月には、震災から10年という節目に、当時消火活動に従事された市原消防局から講師を招いての安全講演会、および当時同装置の運転を担当していた課長・課員による座談会を実施しました。講演会および座談会の内容は従業員に向けて動画配信され常に視聴可能としています。今後も震災での出来事や震災から得られた教訓を後世に引き継いでいくよう努めていきます。

座談会動画配信

工場長メッセージ動画配信
労働安全
(1)労働災害防止
度数率、強度率の実績
千葉工場・研究所では「安全衛生方針」、四日市工場では「保安方針」において無事故・無災害操業の継続を表明し、工場就業者一人ひとりがこの方針を理解し、目標を達成するために努力しています。
また、危険予知活動の一環として、工場幹部や安全衛生委員によるパトロールを定期的に実施し、異なる人の目で現場作業や設備状況を見るなど、災害発生の防止に努めています。2020年は安全諸活動を積極的に展開したものの、千葉工場で協力会社従業員1件の休業災害が発生しました。一方、四日市工場では休業災害0件を継続しています。休業災害ゼロを目指し、引き続き全社を挙げて取り組んでいきます。

*出典(化学工業):令和2年労働災害動向調査(厚生労働省)
*当社の度数率・強度率は、千葉工場・研究所、四日市工場における当社従業員のみで算出
*度数率=100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表す。
*強度率=1,000延べ実労働時間当たりの労働損失日数で、災害の重さの指数を表す。
*数値は暦年
(2)リスク改善提案
改善提案を30件採用
当社従業員ならびに関係会社・協力会社の従業員が自ら危険源や問題に向き合い、リスクを低減する提案を行うことで、自主的な安全意識の向上を図っています。2020年度は千葉工場で24件、四日市工場で6件採用されました。
【提案採用件数】
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年度 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 |
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提案 | 40 | 39 | 31 | 24 | 30 |
採用 | 37 | 39 | 29 | 24 | 30 |
リスク改善提案の一例
重量物運搬用ウインチ設置(動力課)
設備の安定運転のためには付属部品の取り替え作業が発生しますが、取り替えのためには、重量のある部品を手に持って地上と高さ約15mのフロア間を階段で昇降する必要があり、転倒のリスクがあります。さらに取り外した部品は高温であるため、火傷のリスクもありました。部品運搬用のウインチを設けることにより、これらのリスクが改善されます。

改善前

改善後イメージ
物流安全
(1)物流安全協議会
コロナ禍での事故撲滅に向けた新しい活動形式を模索
主要物流業務委託会社(20社)で構成する「丸化物流安全協議会」は、年初に会員各社事業所を訪問し、年間活動目標、計画の共有から活動をスタートしました。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、対面での活動中止など計画を大幅変更し、協議会活動は制約の多い1年となりましたが、会員各社のご尽力もあり「重大事故0件」の年間目標を達成することができました。6月の「全体会議」も紙面開催としましたが、1年間の協議会活動とともに発生したトラブルの事象と原因を分析し報告しました。
今後はリモート会議システムを活用した協議会や、分科会も視野に、コロナ禍にあっても物流事故撲滅に向けたより良い活動を模索していきます。
(2)コロナ禍でのトラブル等対応体制
リモートによる初期体制を構築
2020年6月、コロナ禍対応として「テレワーク」を推進している中で、高速道路でのタンクローリー横転事故が発生しました。幸い大きな社会的影響はありませんでしたが、その対応として初めて本社、工場、在宅勤務者を含めたリモートによる対策本部(初期体制班)を設置し、情報収集、対応指示等を行い、会議室に集まらずとも、スムーズな社内での情報共有ができ、いつどこで発生するかわからない物流事故対応に非常に有用であることを確認しました。
その経験から、トラブル現場からの情報連絡等での課題も確認できましたので、委託先会社も交えて、今後の対応策を検討していきます。