気候変動対策

気候変動対策

気候変動対策図 気候変動対策図

コスモエネルギーグループが宣言する「2050年のカーボンネットゼロと2030年のCO2排出量30%削減(2013年度比)」の実現に向けて、当社は、さまざまな施策に取り組んでいます。
2基あるエチレンプラントのうち1基を停止することで、CO2排出の絶対量については大幅な削減が見込まれます。加えて、その先を見据えた取り組みとして、エチレンプラントからのCO2排出を極限まで削減する、アンモニア燃料の活用と、廃プラスチックを原料として再利用するための、ケミカルリサイクル技術の開発に取り組んでいます。
これらの事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金(GI基金)事業」にも採択されました。

カーボンネットゼロに向けた2つの実証事業

1. アンモニア燃料のナフサ分解炉における実用化

エチレンプラントでは、原料のナフサを熱で分解してエチレンなどの石油化学基礎製品を生産しています。このナフサを熱で分解する場所が「ナフサ分解炉」です。ナフサ分解炉では、従来、メタンが主成分の燃料を利用していますが、それをアンモニア燃料に転換できれば、燃焼時に発生するCO2の削減が可能です。
当社は、この技術の実現に向けて、開発の一部であるナフサ分解炉の実証炉の操業などを実施していき、最終的には、アンモニア専焼商業炉での実証を完了して、社会実装していくことを目指しています。

現在は、アンモニア燃焼を行うバーナーの開発、および、試験炉の開発を行っており、エチレンプラントを操業する立場から開発を支援しています。今後、試験炉の運転において性能の確認がとれた後に、実証に進んでいきます。

2. 廃プラスチックを原料とするケミカルリサイクル技術の開発

廃プラスチックの削減や、化石資源(ナフサなど)を原料とすることで排出される温室効果ガス(GHG)の削減は世界的な課題です。これらの解決策として、化石資源の代わりに廃プラスチックを原料とするケミカルリサイクル技術があります。その中でも、国内の廃プラスチックの多くを占めるポリエチレンやポリプロピレンなどの「ポリオレフィン系プラスチック」の高効率なケミカルリサイクル技術の開発が強く望まれています。
当社では、エチレンプラントでエチレンやプロピレンなどの石油化学基礎製品を生産しています。そこで、ポリオレフィン系の廃プラスチックから、エチレンやプロピレンなどを高効率に直接製造する技術確立のために、その開発の一部として、当社のエチレンプラントのナフサクラッカーの製造設備やその運転のノウハウを活かした検討を行っています。
そして、廃プラスチックの削減や、化石資源を原料とすることで排出される温室効果ガス(GHG)の削減を目指しています。
これまでに、ベンチ試験機で目標とするオレフィン収率(60%以上)の達成を確認しています。今後は、パイロット・実証機試験の検討を進める計画です。当社としては、このプラントをエチレンプラントに接続するための最適化検討を進めています。

ケミカルリサイクルの流れ
  • *1ETO(Ethanol to Olefin):エタノールからエチレンなどのオレフィンを製造する技術
  • *2MTO(Methanol to Olefin):メタノールからエチレンなどのオレフィンを製造する技術

丸善石油化学はコンビナートにエチレンを供給する役割を担っており、エチレン分解炉の脱炭素化に向けた取り組みは重要なテーマと認識しています。本事業を通してCO2排出量の削減を図り、将来的にはCO2フリーのプラント技術および製品供給を目指すことで、取引先を含めたサプライチェーン全体のカーボンニュートラルに取り組んでいきます。

MESSAGE

取締役 執行役員 山本 雅則 経営企画部・技術部・研究開発センター・機能性樹脂技術開発センター・千葉工場・四日市工場 担当
取締役 執行役員
山本 雅則
経営企画部・技術部・研究開発センター・機能性樹脂技術開発センター・千葉工場・四日市工場 担当

安全かつ安定した運転を維持しながら、さらなるエネルギー効率の向上を目指すことが責務です。

2025年4月のニュースリリースのとおり、2基のエチレン装置のうちの1基を停止することでCO2の排出量については大幅削減が見込まれています。しかし、ここが終着点ではありません。運転を継続する京葉エチレン(株)の装置において、安全かつ安定した運転を維持しながら、さらなるエネルギー効率の向上を目指します。これにより基礎化学製品の単位当たりのCO2排出量を低減することが社会的にも求められる重要な責務であると考えています。また、現在実施中のGI基金を活用した燃料転換や資源循環の取り組みも、将来のカーボンネットゼロを見据えた重要なプロジェクトです。
これらの省エネ対策、地球温暖化対策について、各プロジェクトの時間軸を意識しながら実効性のある対策を着実に進めていきます。

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