動画で変える技術伝承

2025年10月28日

動画マニュアルとは?

動画マニュアルとは、製造部門での業務手順を動画にすることで、パソコンやスマートフォンから誰でも視聴ができ技術が習得できる、新しい形のマニュアルです。視覚と聴覚の両面から情報を伝えられるため、口頭では伝わりにくい内容も直感的に理解できます。
 例えば、マニュアルに「ゆっくりと」と記載してあっても、実際に作業をしたことのない人にはイメージできなかったり、実際にやってみると、担当者によっても速さが違ったりします。また、離れた箇所の多点同時撮影も取り入れ、普段見ることがかなわないほかへの影響も確認できます。動画でマニュアルを作成することで、細かい手順なども繰り返し見られるため、同一の理解度で伝えることが可能になりました。 
 若手社員が初めて担当する作業でも、実際に自分自身が作業する様子をイメージしやすくなり、理解が早まって習得スピードの向上につながっています。高い技術力や品質管理といった当社の工場現場の強みを、次世代へ確実に継承していくためにも、動画による技術伝承は重要な役割を果たしています。

現場での撮影風景。安全に細心の注意を払いながら、さまざまな角度から撮影を行う。

技術継承の新たな形
「動画マニュアルによる現場教育改革」

自身の当社での動画マニュアル作成への取り組みは、2018年頃現場での教育方法に課題を感じ始め、個人で作業風景の撮影・編集を始めたことをきっかけにスタートしました。これまでベテラン社員の勘や経験に頼っていた作業内容を動画として可視化することで、新入社員や異動者でも短期間で技術を習得できるようになり、安全や品質の向上につながっています。さらに2023年頃からは取り組みが全社に広がり、製造部門を超えて他部門にも波及しました。動画は社内ポータルサイトで誰でもアクセス可能となり、社員教育の効率化に大きく寄与しています。

“見て学ぶ”動画マニュアルが変える現場教育

動画マニュアルは、従来の紙の手順書や口頭での説明と比較して、視覚的な理解がしやすい点や、文章と比べて情報量が何倍もあることが大きな利点です。当初は「現場での撮影は、安全上難しい」「動画制作には、専門的な知識が必要」といった懸念もありましたが、近年使いやすくなった動画編集ツールを活用することで、特別なスキルがなくても十分実用的な動画を作成できることが伝わり、社内の意識も変化しました。

この取り組みは、当社が進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環でもあり、教育手法そのものの変革につながっています。若手社員からは「動画で事前に予習でき安心だった」「ベテランの技術が映像として残るのは心強い」といった声も寄せられています。
 今後は、OJTや座学と併用しながら、全社的なナレッジ共有の仕組みとして、動画マニュアルをさらに発展させていく方針です。動画マニュアルは、当社の知見と文化を次世代に継承するための重要な資産と位置づけています。

作成した動画マニュアルの画面。通常作業している側では見られない、ほかの作業箇所への影響を見られるようにしたり、
部品を透明化して内部がわかりやすいようにして解説を入れたり、編集にもさまざまな工夫をしている。

KEY PEOPLE

千葉工場 製造一部 動力課 動力係 川方 康弘(2009年入社)

 同じ思いを持った先輩社員とともに、動画マニュアルの可能性を信じ、活動を始めた。今では、課員の協力もあり動画の作成本数は社内で一番、国際的な学会や技術者会でも取り組みを発表した。これからも自身の経験を活かし、後輩や他部署、協力部門の方々が、意欲を持って自分から学べる環境づくりのために、わかりやすい動画作りに挑戦したい社員の方々のサポートに尽力していきたい。

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