2017年09月30日
1. 貴金属の新たなリサイクル技術 ~「都市鉱山」から金・銀~
当社は茨城大学と共同で、使用済み携帯電話などから貴金属を効率的に回収する技術を開発しました。リサイクル工程で発生する廃液に「刺激応答性樹脂」(※後述参照)を入れてターゲットとなる金や銀を選択的に回収することができます。この技術は回収作業の短縮や使用エネルギーの削減などにつながり、廃棄される電子機器に含まれる貴金属の新たなリサイクル技術として普及を目指しています。
この技術は当社と茨城大学工学部の五十嵐淑郎教授が共同開発したもので、非鉄金属メーカーやリサイクル業者への導入を目指しています。
この技術に使用する ※「刺激応答性樹脂」とは当社の製品であるビニルエーテル樹脂の構造をターゲットとなる物質の回収用に設計し、温度など一定の「刺激」に応答しその機能を発揮する樹脂です。
実験段階での金の回収率は96%に達し、また使用した樹脂は再利用が可能であるため、極めて環境に配慮された技術といえます。
この技術をさらに応用することにより、溶液中のPH(ペーハー、水素イオン濃度指数)に応じてカドミウムなどの有害物質の除去にも役立つ研究も始めています。
また当社は、こうした刺激応答性樹脂の機能をより強力に発揮させるための「リビングカチオン重合」技術を持っています。このリビングカチオン重合技術によりポリマーの分子量や構造の精密な制御が可能となりました。
2. 高輝度LED 基板加工向けナノインプリント樹脂の開発
現在LED 基板加工用に広く使われているサファイアに対する高いドライエッチング耐性、高屈折率、高耐熱などの優れた特性を生かして、光取り出し効率を大幅に高めることが可能となるUV ナノインプリント樹脂を開発しました。
この樹脂を用いて製作した高輝度LED は輝度がさらに上昇することにより、従来に比べ省資源、省エネルギーなどの効果が期待できます。
現在はサンプルワークを開始し、近い将来の事業化を目指しています。