トップメッセージ

技術力を活かし、
企業価値のさらなる向上と
カーボンニュートラルの実現を
目指します
代表取締役社長 社長執行役員
コミュニケーションとスピードを重視
事業環境の変化と今後の見通し
2022年4月に代表取締役社長に就任いたしました。当社に所属する社員とその家族、さらにはステークホルダーの皆様に対する重責に身の引き締まる思いでおります。
当社の企業使命は「化学技術を基盤とし、くらしと産業の健全な発展に貢献する。」ことです。現代社会において、石油化学製品はなくてはならない素材です。その意味ではまさに当社の製品は、SDGsに代表される社会課題の解決に直接的、間接的に貢献しています。安全ナンバーワン企業であること、お客様へ高品質な製品を安定的に供給すること、そして付加価値の創造に絶えず挑戦していくことが、社会およびステークホルダーに対する当社の役割であると思っています。
2021年度を振り返ると、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響からの反動により、国内・海外ともに石油化学製品の需要は回復に向かいました。特に当社の主要商品であり、様々な産業に必要とされる基礎化学品を中心に市場は堅調に推移し、当社も増収増益を記録いたしました。また、2018年度に開始した現中期経営計画において進めてきた大型投資については、最終年度である2022年度中に最後の3件が完成予定で、将来の競争力強化に向けた布石となります。
今後の見通しですが、ロシアのウクライナ侵攻の影響によるエネルギー価格の上昇や、中国・上海のロックダウンに端を発したサプライチェーン混乱の長期化など、不透明な情勢が依然として続いていますが、こうした状況は一時的なもので、いずれアジアの石油化学製品需要も回復すると考えています。また、高機能樹脂をはじめとした機能化学品は、半導体など先端分野の需要拡大による売上げ増が見込まれますし、溶剤などの化成品の需要も好調です。
コロナ禍後の事業環境の変化はより速さを増しており、好機を逃さないよう、意思決定のスピードを重視していきます。
そしてコスモエネルギーグループ、コンビナート各社、お客様やお取引先様、地域の皆様そして従業員とのコミュニケーションをしっかりと行い、経営判断のレベルを高めていきます。
カーボンニュートラルの実現に向けて
2050年カーボンネットゼロの実現に向けて
次期中期経営計画(2023年度~)に向けては、当社の2基のナフサクラッカーをさらに効率的なものにして競争力を付けることと、化成品、機能化学品事業の生産・販売を拡張していくことの2つのターゲットが中心になります。
収益の主軸となってきた基礎化学品に加えて、これからは当社の技術を活かし、高い付加価値が見込める化成品、機能化学品事業を基礎化学品事業と並ぶもう一つの主軸に育て、両輪による経営を目指します。
基礎化学品分野は収益が市況に左右されやすいため、既存事業に対し、効率化に資する投資を行い、同時に、化成品、機能化学品分野では事業拡大に向けて経営資源を集中させ、新たな価値の創造に取り組んでいきます。石油精製との連携も含め、常に未来を見据えて変革し続ける会社でありたいと思っています。
サステナビリティの観点からは、コンビナートや地域連携を踏まえたカーボンニュートラルへの取り組みも重要になります。
2022年2月には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業(GI基金)として、当社が参画している「ナフサ分解炉におけるアンモニア燃料の実用化事業」と「廃プラスチックの直接分解によるオレフィン製造(ケミカルリサイクル)」の2つの事業の採択を発表しました。「アンモニア燃料の実用化事業」では、当社が排出する年間約230万トンのCO2の主な排出源であるエチレンプラントの燃料をアンモニアに転換することで、CO2排出を削減することを目標にしています。もう一つのプロジェクトは、廃プラスチックから、エチレンやプロピレンなどの基礎化学製品の原料を直接製造する技術の確立を目指します。
こうした事業は大きな投資が必要であるとともに、アンモニアや廃プラスチックをどう手当てするかといった課題もあり、個々の企業だけで解決できるものではありません。プロジェクトを共同で進める住友化学(株)様や三井化学(株)様他との連携はもちろん、コンビナート全体や地方自治体・国と一体となって取り組んでいく必要があります。
今後、石油化学製品の需要は、国内では人口減により微減となる一方で、世界全体でみると途上国を中心にさらに拡大すると予測しています。当社は日本最大の京葉コンビナートに2基のナフサクラッカーを保有しており、これまで培った技術の蓄積と、都心に近い有利な立地を活かして、引き続き競争力のあるクラッカーとしてのポジションを確立していきたいと考えています。
多様な個を活かす経営へ
人材の育成と環境づくり

当社では、多様な人材の登用と、その能力を最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげていくことを目指しています。
社長就任以来、社員とのコミュニケーションを最も大切にしています。当社の魅力の一つは、上下関係なく話せる風通しの良さと部署を超えて協力する社風です。コミュニケーションが十分に機能することで、多様な人材を活かし、新たな発想が生まれると考えています。
そこで、前社長時代から行われてきた「経営トップキャラバン」を、引き続き実施しています。この活動では、1回に約10名ずつの社員と直接対話をする機会を設け、私からメッセージを伝え、社員から様々な質問や意見、抱えている課題などを直接聞き、意思決定に活かしています。
当社は若手社員の比率が非常に高く、彼らの成長が今後の会社の飛躍につながります。カーボンニュートラルに向けて社会全体が変化していきます。若手が新たな課題に挑戦し成長できる機会は沢山ありますし、技術力と経験を持った当社の今を支えるベテラン層にも、その知恵と経験を若手に引き継ぎながら、健康で長く能力を発揮してほしいと思います。
そのために、働きやすい職場を提供し、業務改革による生産性向上に取り組み、ワーク・ライフ・バランスを向上させ、社員がいきいきと活躍できる会社にしていきたいと思っています。
能力を発揮するための教育や、環境づくりにも力を入れています。当社のナフサクラッカーは完成から年月が経っており、安全・安定操業のためにも、適切な設備保全がなによりも重要です。机上の教育はもちろんですが、熟練者と若手が、現場で連絡を取りつつ作業ができるタブレット端末やスマートグラスの導入、また高所にある設備や大型タンクの点検では人手に頼らずにドローンを活用するなど、スマート保安の新しい技術を導入することにより、労働災害の低減や熟練者減少への対策を進めていきます。
さらなる企業価値の創造を目指す
ステークホルダーの皆様へ
当社はコスモエネルギーグループの基本方針「ESGの観点でサステナブル経営を推進し、SDGsの実現に向けて貢献していく」に沿って全社でCSR活動を推進しています。安全、環境、品質、コンプライアンスの分野ごとに専門的で充実した取り組みを行っており、そのすべてが事業を支える重要な取り組みです。
特に安全は製造業の根幹です。現在、高圧ガス装置の保安に関するスーパー認定取得のプロジェクトに取り組んでおりますが、ここで抽出された施策等の実装を通して保安力を向上させ、安全をしっかりと担保した上で、新しい取り組みにチャレンジしていきます。
2050年、またその先へ向けて、持続的に発展を続けるためには、変革に取り組み続けることが重要です。社会の変化を捉え、事業を絶えず変革し強化し続けるレジリエントな会社、社会からの要請に応え共に成長するサステナブルな会社として、すべてのステークホルダーの皆様との信頼関係を大切にし、さらなる企業価値の創造に努力を重ねてまいります。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。