環境分野への貢献

1.生産活動に係る投入と排出の実績

2022年度は、生産量の減少のため、総エネルギー投入量、総物質投入量、水資源投入量が2021年度より減少しました。千葉工場および四日市工場では、行政と協定を締結し、法律より厳しい環境基準を遵守しています。また、環境マネジメントシステムの効果的な運用、省資源・省エネルギー、廃棄物の再資源化などを通じて、今後も環境負荷低減の努力を継続していきます。

協定とは、千葉工場は千葉県および市原市と締結している「環境の保全に関する協定」、四日市工場は四日市市と締結している「公害防止協定」を指します(ほかの項目の協定も同様)。

2.地球温暖化防止への取り組み

エネルギー原単位の低減

当社では、エネルギー管理委員会を定期的に開催し、エネルギー使用状況の把握、省エネルギー活動の推進に努めています。また、省エネ法に基づき、「5年平均で年1%以上のエネルギー原単位低減」を目標に設定しています。
2022年は非定期整備年ではありましたが、世界的な需要低迷による生産量低下や装置の不具合による非効率な運転を余儀なくされたため、エネルギー原単位は大幅に悪化しました。
2023年度以降は安定操業に努めるとともに、省エネルギー活動にも取り組んでいきます。

エネルギー原単位の推移
エネルギー起源CO2排出量2,107千t

「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」に基づき、事業活動による温室効果ガスの排出量を定期的に報告しています。温室効果ガスのうち、製品製造時のエネルギー使用に伴うCO2排出量は前年より減少していますが、今なお総排出量の大部分を占めています。今後ともエネルギー管理委員会などを通じて、エネルギー使用状況の把握を継続し、省エネルギー活動の推進に努めます。なお、製品の輸送に係るCO2排出量についても法律に基づき算出し、報告しています。

エネルギーの使用に伴うCO2排出量
製品の輸送に関わるCO2排出量
非エネルギー起源CO2とその他の温室効果ガス

エネルギー起源CO2以外の温室効果ガスとしては、非エネルギー起源のCO2が3,000tを超える排出となり、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく報告を行っています。
このうち99%以上はエチレンの生産に伴う排出量(生産量に所定の係数を乗算)であり、エチレン生産量に比例して推移しています。その他の温室効果ガスについては、3,000t-CO2未満となっています。

温対法報告値(エネルギー起源CO2を除く)

トピックス「カーボンネットゼロに向けた2つの実証事業」

2022年2月、当社はカーボンネットゼロへの取り組みとして、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)が公募した「グリーンイノベーション基金(GI基金)事業」にコンソーシアムとして応募し、以下の2件が採択されました。いずれの事業も、2030年の実装を目指して、検討を進めています。

1. ナフサ分解炉の高度化技術の開発

目標:ナフサ分解炉において、従来メタンを主成分としていた燃料をアンモニアに転換することで、燃焼時に発生するCO2を限りなくゼロにする。

2. 廃プラ・廃ゴムからの化学品製造技術の開発

目標:環境へ排出される廃プラスチックの削減や、化石資源を原料とすることで発する温室効果ガス(GHG)の削減を目的に、ポリオレフィン系廃プラスチックから、エチレンやプロピレンなどの化学製品原料を高効率で直接製造する技術を確立する。

3.大気汚染防止

千葉工場では、ばい煙が発生する主な施設の測定データをリアルタイムで行政機関に送信しており、双方で監視するシステム(テレメータ)を導入し、管理に努めています。2022年度は、一部加熱炉において燃焼用空気の最適化運転により、ばいじん排出量が増加しましたが、規制基準値に対し非常に低い状態を維持しています。
両工場とも法律・協定を遵守し、法律の排出濃度規制値および協定の排出計画値などを大幅に下回っています。

  • SOx排出量
  • NOx排出量
  • ばいじん排出量

4.水質汚濁防止

千葉工場および四日市工場は協定に基づき、排水の管理・削減に努めています。2022年度、千葉工場は酸化エチレン製造装置の停止に伴い、排水量およびCOD排出量が減少しました。両工場とも法律・協定を遵守し、法律の排出規制値および協定の排出計画値などを大幅に下回っています。

排水処理設備
  • COD排出量
  • 全窒素排出量
  • 全りん排出量

※四捨五入差異により合計が合わないことがあります。

5.化学物質の管理(PRTR対応)

「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法またはPRTR法)」に基づき、届出対象の第一種指定化学物質462物質のうち、千葉工場30物質および四日市工場10物質の届出、報告を行っています。
千葉工場では、生産量の減少に伴いエチルベンゼン、キシレンおよびトルエンの排出量が減少しました。四日市工場では、前年度とほぼ同等の排出量となっています。

【個別排出量】 2022年度PRTR届出物質中の排出移動量のうち合計1t以上となる物質(t/年)

千葉工場・研究所
化学物質名 大気排出 公共用水排出 事業場外排出
2021 2022 2021 2022 2021 2022
エチルベンゼン 9.0 7.1 - - - -
キシレン 14.0 11.0 - - - -
1,2-ジクロロエタン 2.8 2.8 - - - -
ジシクロペンタジエン 3.6 3.3 - - - -
トルエン 62.0 51.0 - - 0.2 0.1
バナジウム化合物 - - 0.5 - 0.5 1.2
ノルマルヘキサン 140.0 140.0 - - 0.1 -
ベンゼン 1.8 1.8 - - - -
ホウ素およびその化合物 - - 1.2 - 0.8 2.0
四日市工場
化学物質名 大気排出 公共用水排出 事業場外排出
2021 2022 2021 2022 2021 2022
エチレングリコールモノメチルエーテル - - - - 8.5 7.4
ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(アルキル基の炭素数が12から15までのものおよびその混合物に限る) 0.1 0.1 - - 6.6 6.3

6.産業廃棄物の削減とリサイクルの推進

当社は、製造工程で発生する廃棄物の削減と再資源化の推進に努めています。
千葉工場では、運転状況により廃棄物の発生量はほぼ横ばいながら、再資源化に努めて環境負荷低減を図り、埋立率は 1.0%以下を維持しています。四日市工場では、運用方法の見直しを行い、定期整備工事の廃棄物を削減し、埋立率も0%となりました。

廃棄物発生量
  • 発生量:構内中間処理前量
再資源化量と最終処分量
  • 2018年度より自ら直接再処理した数値を再資源化量に含みます。
  • サーマルリサイクル量については、全事業場で考え方を統一し、2018年度より再資源化量から除外しました。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく
産業廃棄物処理施設の維持管理状況の公表について

7.プラスチックの資源循環について

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」においては、年間250t以上のプラスチック廃棄物の排出がある場合、多量排出事業者となります。
当社は2021年度実績から多量排出事業者となったため、排出削減目標を250t以下と定めて、廃棄物の分別を推進すすめた結果、2022年度の排出量は223tと目標達成することできました。
今年度は多量排出事業者とはならないものの、引き続き250t以下の排出量を目標として取組を継続していきます。
過去5年間の排出量は、以下の通りです。

プラスチック使用製品産業廃棄物量の推移
年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
プラスチック使用製品産業廃棄物(t) 340 233 384 318 223

8.PCB 回収・保管と処理計画

千葉工場ではPCB廃棄物を「PCB 廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に基づき、特別管理産業廃棄物として適切な管理を実施しています。
2022年度は年度末に処理期限を迎える高濃度PCB安定器等などの処理にあたり、分別および可能なものは分解を行うことで、約3.1t()まで減量を行い、期限内に処理の委託契約を締結しました。
2026 年度に処理期限を迎える低濃度PCB含有廃棄物については、現在稼働中の機器も含めて、引き続き計画的に取り外し、処理を進めていきます。
なお、四日市工場では、すべてのPCBの処理がすでに完了しています。

PCB(Poly Chlorinated Biphenyl):ポリ塩化ビフェニルは毒性が強く発がん性があり、1972年に製造・使用が禁止されています。かつては電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々さまざまな用途で利用されていました。

9.水銀照明の計画的廃止

「水銀に関する水俣条約」を受け、環境汚染物質の低減施策として水銀照明設備のLED化を計画的に進めています。2022年度は千葉工場で192台、四日市工場で10台の更新を行いました。

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