安全への取り組み
「安全宣言」産業保安に対するコミットメント
当社の安全に対する基本理念および基本方針を表しています。この安全宣言を、本社や事業場内に掲示するとともに、産業保安に対するコミットメントとしてステークホルダーに対し発信しています。
1.安全文化の醸成「自主保安活動(CA1活動)」
当社では、さまざまな取り組みにより、安全文化の醸成と自主保安活動の促進を図っています。
CA1(ChemiwayAnzenNo.1)活動は、部署を単位とする全員参加の安全活動です。活動開始当初は5S活動など身近な活動が中心でしたが、現在では目標の設定、活動の計画、結果の評価を自ら管理する「自主管理型」へと進化しています。
また、リスク低減のための改善提案活動では、現場のリスク低減に最も貢献した改善の提案者や、保安防災、労働安全に関して特別な功績があったと認められた者を安全功労者として表彰しています。
2.工場の安全活動
自主保安の基本は自ら設備の検査を行って劣化具合を評価し、適切に補修することでトラブルの発生を未然に防止することです。
当社においても設備の高経年化に伴う外面腐食が大きな課題となっているため、千葉工場・四日市工場では全設備の外面腐食検査を網羅的に行い、維持管理に努める専任チームを立ち上げています。
また、急速に若年化している保全部門の従業員の経験を補うため、各種教育の充実を図っています。

3.保安力評価の実施と特定認定高度保安実施者の認定
千葉工場が特定認定高度保安実施者(通称:A認定)の認定を取得
経済産業省の新たな制度である「高圧ガス保安法における新認定事業者制度」において、2025年2月28日付で千葉工場が特定認定高度保安実施者(通称:A認定)に認定されました。従来の認定制度は、事業所の保安体制と実施状況等の審査を経て、事業者自らが保安検査を実施することを可能とする旨の特例措置等を付与するものでした。新制度ではさらに高度なリスク管理体制、高度なエンジニア教育の実施、高度な情報通信技術の活用などの認定要件を満たし、高い保安力を有すると評価された事業者を「特定認定高度保安実施者」として認定し、認定事業者に付与される特例措置は拡大します。今回、千葉工場が新制度のもと石油化学事業所としては日本で初めてこの認定を取得しました。当社は今後も、地域社会の皆様と従業員の安全と健康を守り、「安全ナンバーワン企業」を目指してまいります。

4.防災体制と訓練
千葉工場(研究開発センター・機能性樹脂技術開発センターを含む)、および四日市工場では、石油コンビナート等災害防止法に基づき、災害時は工場長が最高責任者となる自衛防災組織を編成しています。また、コンビナート各社と共同防災組織を設置し、消防活動の相互応援を行います。さらに、大容量の浮き屋根式屋外貯蔵タンクを保有する企業で大容量タンク火災用大型消火設備を共同保有し、災害に備えています。
5.労働災害の防止
各事業所では「安全衛生方針」において無事故・無災害操業の継続を表明し、工場就業者一人ひとりがこの方針を理解し、目標を達成するために努力しています。
また、危険予知活動の一環として、労働安全リスクアセスメント、社内外事故事例教育、工場幹部や安全衛生委員によるパトロールを定期的に実施し、異なる人の目で現場作業や設備状況を見るなど、災害発生の防止に努めています。
| 労働災害 | 単位 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 度数率※3 | 当社 | — | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
| 化学工業※4 | — | 1.16 | 1.04 | 1.23 | |
| 強度率※3 | 当社 | — | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
| 化学工業※4 | — | 0.06 | 0.03 | 0.04 | |
- ※3度数率および強度率(暦年)
度数率:100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表す。
強度率:1,000延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数で、災害の重さの指数を表す。 - ※4化学工業の度数率および強度率:出典:厚生労働省「令和6年労働災害動向調査」(16化学工業)
・対象:千葉工場・研究開発センター・機能性樹脂技術開発センター・四日市工場の従業員
6.物流安全
丸化物流安全協議会~物流安全のために主要物流業務委託先と構成~
当社では、約20社の主要物流業務委託会社と「丸化物流安全協議会」を設置、活動しています。
ここ数年はコロナ禍の影響により、施設見学会や業種を超えての物流安全をテーマとしたグループワークなどの開催がかなわず、当社からの情報発信やリモートでの会議などの活動に限定されていましたが、2023年より対面での全体会議を開催し、毎年会員各社に多数参加いただいています。年間の活動報告や活動計画、物流トラブル事例の共有などを行い、会員各社間での活発な情報交換の場となりました。
7.製造現場のDXについて
「テクノロジーの活用(スマート保安)を推進し、『安全ナンバーワン企業』を目指す」をスマート保安方針として掲げ、安全操業・安定供給を継続し、さらなる自主保安の高度化と効率化を目的とした取り組みを始めています。このスマート保安の推進は、非財務中期経営計画項目「デジタル変革(DX)」の取り組みの一環でもあります。
ここに、スマート保安の取り組みの中から、現在進行中の案件について一部をご紹介します。
「スマート保安」の取り組み
ノウハウDB(ノウハウデータベース)
日常的な回転機器のトラブル対応では、過去のトラブル経験をもとに対応しているケースが多く、経験の浅い保全員だと類似事例の保全記録を探し復旧まで時間を要することが課題でした。そこで、質問に応じて起きている現象を入力すると、過去の類似事例を検索できるアプリを構築しました。さらに、現場での使用を考えて携帯端末で操作でき、かつ交換部品の在庫状況も確認できるため、事務所に戻ることなくトラブル対応が行えます。2024年度から段階的に運用開始しています。
検査記録の高度化~現場検査での高性能タブレット端末導入~
定期整備工事にて静機器の開放検査を行う際には、膨大な量の現場検査記録の作成・確認・評価までを短時間で行う必要があります。しかし、設備の高経年化やベテラン検査員の退職および長時間勤務問題などにより、この人に頼った一連の作業が適切に行えなくなり、検査の品質低下を招く懸念がありました。そこで、開放検査記録様式を統一化し、現場でのタブレット端末操作で測定結果などを入力した際、前回との差異の有無を検知して詳細検査の必要性を判断できる仕組みなどを導入し、一部の装置で試運用を開始しました。これにより、検査値の入力、写真撮影、前回値比較を短時間に行うことが可能となります。
AIを活用したデータ統合基盤整備「Cognite Data Fusion®」
装置のトラブルが発生した場合、その原因追究のために機器仕様や図面、保全検査記録、運転記録、さらには品質分析記録など膨大な資料をもとに総合的に解析・評価しなければなりません。それら情報は、各部門で管理しており、個別のデータシステムに分かれているため、必要なデータ収集に時間を要します。
そこで、AIを活用したデータ統合基盤(Cognite Data Fusion®)の整備を一部装置で始めました。特に、このデータ統合基盤では、特定のデータに関する検索を行うと紐づく情報が自動的に収集されるため、必要なデータを容易に検索し加工できるようになります。
現在、一部装置をターゲットに、紙面データや3Dビューアー画像の整備などのデータの電子化を行い、コンテキスト化(データの紐づけ)を実施し、試験運用を開始しています。

