第7次中期経営計画のスタートに向けて

取締役 常務執行役員
村上 功一
営業本部 担当/営業本部長 委嘱

基礎化学品を堅持しながら、機能化学品分野での飛躍を目指す。地球環境対策への貢献も

2023年度からの中期経営計画における事業環境は、世界経済成長の鈍化と中国の新増設に伴うオーバーサプライによって石化製品の市況低迷の長期化が懸念される一方で、修繕費増加などによる固定費の大幅上昇が見込まれており、特に収益性の点で非常に厳しいと言わざるをえません。その中で、基礎化学品分野においては工場が隣接するコスモ石油(株)と統合した生産計画運用など、石油精製・石化連携のさらなるメリット追求や、製造コストアップ分の製品価格への転嫁などの収益改善施策に注力します。
機能化学品分野では事業拡大に意欲的に取り組み、経常利益ベースで30%の積み上げを目指します。化成品事業では世界的に高いシェアを持ち、塗料溶剤、印刷インクなど幅広い用途があるメチルエチルケトン(MEK)の増産増販にチャレンジするほか、将来成長が期待できる地球環境対策に関連性の高い製品の販売拡大のための施策を実行します。機能化学品事業のレジスト用樹脂は、半導体需要における高い成長率予測を受けて、2030年度には2022年度比で事業規模を2倍近くとする目標を掲げており、中期経営計画においてもさらなる生産能力増強の投資を行います。
また、前中期経営計画で実行した投資案件のうち、プロピレン精留塔、水素化石油樹脂(千葉アルコン製造(株)に出資)、ビニールエーテル、半導体レジスト用樹脂は早期の稼働率向上を実現させ、投資回収を確実に行います。

取締役 執行役員
前川 博幸
購買部・環境保安部・情報システム部 担当

無事故・無災害から、さらなる保安力向上に向けた次のステップへ。DXは重要なテーマ

石油化学会社にとって、無事故・無災害は最も重要な経営課題であり、CSR活動の中でも、安全管理委員会・環境管理委員会において、KPIを定めて、全社的な活動を統括しています。労働安全の分野では、「守れ!守る!運動」など協力会社を含めた関係者の地道な取り組みによって着実に改善されており、前中期経営計画の大きな成果だと考えています。
プロセス安全においては、2022年度は外面腐食などによる事故も発生しましたが、原因究明・再発防止策・水平展開を実施、安全管理委員会で審議を行い再発防止に取り組んでいます。さらなる保安力向上として、特定認定事業者(スーパー認定)の2024年度末取得を目指し、取り組みを進めています。
環境分野においては、2022年度は、環境に関わる事故はゼロ件で、KPIもすべて達成しました。また重点施策も着実に実行し、VOC対策も含めた環境負荷低減に取り組みました。石油化学会社として、安全と環境に対するリスクの重大さを認識し、引き続き取り組みを進めていきます。
そして、「DX」は、企業経営の重要テーマであり、2023年度からの中期経営計画の重点取組項目に定めています。テレワーク環境整備や電子化・自動化に取り組み、コロナ禍においても、業務遂行環境整備、業務改革・効率化を進めてきました。さらにスマート保安の促進、現場作業のIT武装化、AIやVRなど最新技術活用に加え、利用者のITリテラシー向上の取り組みを進め、DXを推進します。

取締役 執行役員
舟橋 克之
経営企画部・技術部・研究開発センター・機能性樹脂技術開発センター・千葉工場・四日市工場 担当

安全安定運転をベースに、新規事業育成や
カーボンニュートラルへの貢献に取り組む重要な3年間

前中期経営計画の最終年であった2022年度を振り返ると、当社主力装置である第4エチレン製造装置のトラブルの印象が強く残っています。一つひとつの失敗は大きなことではなかったのですが、それが見過ごされて大きなトラブルになりました。JVパートナーである住友化学(株)様と共同で、過去のトラブルも含めたアセスメントを行った結果、組織を含む管理体制の問題が指摘されました。安全・安定運転は当社の礎であり、今回の結果を受けて対策を着実に進めます。
研究分野においては、既存事業のサポートがしっかりできた一方で、環境の変化などやむを得ない事情で、新規事業につながる成果を出すことが難しい状況でした。長期ビジョンに掲げた新規事業を育てるために、外部との連携などスピードアップが重要と考えています。
最後に、カーボンニュートラルへの対応は、グリーンイノベーション基金に「エチレンプラントの分解炉の燃料のアンモニアへの転換」と「廃プラスチックのリサイクル」の2件が採用され、2030年の実証試験を目指し研究を進めています。コスモエネルギーグループの方針である2050年ネットゼロ達成に向けて、2023年度からの中期経営計画においては、グリーン製品需要や政府支援の動向を見極めつつ、グループおよびコンビナート構成会社と連携して今後の方向性を協議していく重要な3年としていきます。

取締役 執行役員
蒲池 良二
人事部・総務部・CSR統括部・品質保証部・経理財務部 担当

コンプライアンスへの取り組みと働きやすく魅力ある職場づくり

当社ではすべてのステークホルダーとの良好な関係維持のため、企業使命と経営方針、および行動基準「CC10:Chemiway Commitment 10」のもとCSR活動を推進しております。
コンプライアンス活動においては、2022年度は、まず当社の関連法令の一覧表を定期更新したうえで、その全法令について、法的リスクの総点検を実施しました。そして、中堅社員を対象に法令モニタリングを実施し、重要法令に関する遵守状況の測定と理解度の向上を図りました。また、従業員にとってわかりやすく、遵守しやすい社内規則となるよう、その体系や記載内容につき見直しを進めました。最後に、経営トップの声を直接従業員に伝えるため、継続して行っている「経営トップキャラバン」を対面で実施したほか、コスモエネルギーグループ全体で行う「従業員意識調査」を通じて、企業倫理の浸透度などを確認しました。2023年度からの中期経営計画においても上記の取り組みはこれまで同様、実施していきます。
働きやすく魅力ある職場づくりでは、業務改革による生産性の向上や年休取得の推進による総労働時間の削減を進めることでワーク・ライフ・バランスの改善に取り組んでいます。また、多様な人材の活躍推進や従業員の健康増進、働きがいの向上へ向けた取り組みについても実行していきます。

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