石油化学製品による快適な生活の実現

丸善石油化学の役割と事業

くらしを支える丸善石油化学の役割

丸善石油化学の事業は、ナフサ分解により生産される基礎化学品と、その副生品から生産される溶剤やナフサに依存しない樹脂製品を製造・販売する機能化学品の2本柱で展開しています。ナフサを最後まで無駄なく製品化しながら、素材としての石油化学製品の総合的な開発に取り組んでいます。

丸善石油化学の役割図

丸善石油化学の事業

丸善石油化学の事業は、基礎化学品と機能化学品の2本を柱として展開しています。
ナフサから生産されるエチレンなどの基礎化学品は、プラスチックや化学繊維、合成洗剤など幅広い製品の原料となります。機能化学品は、エチレンの製造過程で分留・抽出する副生物を有効活用し、高い付加価値を備えた多様な高機能新素材や溶剤を製造しています。また、ナフサに依存しない半導体レジスト用樹脂を事業展開しています。

基礎化学品事業(石油化学基礎製品など)

原油を精製して得られる「ナフサ」をエチレンプラントで分解し、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼンといった石油化学品を製造・販売しています。これらの製品は、プラスチックや化学繊維、合成洗剤から自動車用部材、塗料、日用品、医療品まで、あらゆる産業を支える原料となり、現代のくらしを支える基礎的な石油化学品であることから「基礎化学品」と呼ばれています。当社の千葉工場は、大消費地である首都圏に隣接し、さまざまな産業の集積地である京葉臨海コンビナートに立地し、高品質な基礎化学品を安定的に供給しています。

主な最終製品 ペットボトル、タイヤ、インテリア、衣類、工業資材

事業の特長

当社のエチレン生産量は、当社の所有するプラントと合弁会社分を合わせると、単一工場では日本最大級の生産量を誇ります。京葉臨海コンビナートには、さまざまな企業の工場が集積しており、当社はコンビナート内のお客様との強いつながりを強みとしています。
コンビナートのお客様と培ってきた信頼関係をもとに、課題を共有しながら、お客様のニーズに合ったフレキシブルな対応ができることが、当社の強みです。

2023年度の取り組みと成果

基礎化学品事業については、円安・物価高に伴う国内需要の低迷に加え、海外需要の減少、市況の下落により、非常に厳しい事業環境でした。当社においても、為替影響や輸送コスト上昇もあり、製品輸出環境の悪化により採算性確保が難しい中、装置稼働を適切なレベルに抑えながら、合理化・効率化、コスト削減と、市況に依存しない収益改善策の検討・実施に努めました。

機能化学品事業(化成品、半導体レジスト用樹脂など)

エチレン製造過程で分留・抽出される副生物には、有用な成分が多く含まれています。この副生物を活用し、生産しているのが「機能化学品」です。
さまざまな分野で利用される基礎化学品に対し、特定の分野で高い性質を発揮する製品群です。
特にメチルエチルケトン(MEK)は世界トップクラスの生産能力を誇っています。また、当社独自の研究技術で新たに開発した製品も数多く上市しています。さらに半導体の製造に使われる半導体レジスト用樹脂では、世界トップクラスのシェアを誇ります。

主な最終製品 化粧品、洗剤、接着剤、インク材、半導体レジスト用樹脂

事業の特長

当社は、幅広い商品群と高い品質をベースとして、原料から製品までの一貫生産により、お客様からの要望にもきめ細かく対応できる機動力を持っています。
半導体レジスト用樹脂については、安定的な需要があるArF(フッ化アルゴン)や厚膜レジスト向けの製品から、最先端であるEUV(極端紫外線)向け製品まで、幅広い製造技術を有し原料から製品までの品質管理力を強化しながら、日々進歩し続けるお客様のニーズに応えています。

2023年度の取り組みと成果

機能化学品事業については、多くの製品において需要の回復がみられず、厳しい年となりました。その中で、マルカゾールR(イソドデカン、イソパラフィン系溶剤)は、金属洗浄剤や化粧品用途で使用されますが、堅調な需要が見込まれたため、生産能力増強を計画し、2024年度内には完成の予定です。
半導体レジスト用樹脂については、世界的な半導体需要が底を打ち回復に向かう中、最先端品の販売数量を伸ばすことで、収益確保に貢献しました。また、適切な設備投資も検討しています。

品質への取り組み

品質方針

当社では、品質マネジメント活動の基盤として策定した以下に示す「品質方針」のもと、品質保証および化学品・製品安全に関する取り組みを推進しています。

品質方針

1.品質保証システムによる品質マネジメント

当社は、品質保証システムを構築して品質マネジメントに取り組んでいます。
子会社も含めた全社の品質保証、品質管理に係る組織を品質マネジメント組織と称して、品質部門間の連携を強化するとともに、当社が実施すべき品質保証、品質管理の一連のプロセスを品質マネジメントと定義し、「方針管理」「日常管理」「教育・育成」を3つの柱として活動しています。この活動を定期的な品質監査などによってチェックし、継続的に改善しています。

品質保証システムによる品質マネジメント体制(品質保証および品質管理)
品質保証システムによる品質マネジメント体制(品質保証および品質管理)

2.サプライチェーンにおける品質マネジメントの構築

委託先評価の実施

サプライチェーン全体にわたる品質保証システムをより一層盤石にするために、取引先・委託先の連携強化に向けた取り組みを実施しています。当社工場での原料受入から製品製造、出荷に至る過程だけでなく、製品を出荷してからお客様にお届けするまでの過程(輸送、保管、荷役など)や、製造委託先も含めた管理を強化し、品質リスクを適切に管理するのが目的です。2023年度は、海上輸送委託先の評価を実施しました。また2023年度より品質マネジメント組織への監査の一環として、製造委託先・製品調達先への監査に取り組むことと致しました。

取引先・委託先管理強化の取り組み

3.品質教育の実施

幅広い分野の教育と資格取得を推進

品質マネジメントへの意識向上や、品質活動の活発化、品質管理レベルの向上を図るため、さまざまな教育プログラムをオンライン教育や動画配信なども取り入れて企画・実施しています。品質管理手法のスキル向上を目的としたQC(品質管理)検定取得については、2023年度も順調に取得者が増加しました。

QC検定合格者(累積)

4.品質マネジメント組織への監査

社内2部署、関係会社2社、製造委託先1社を対象に実施

品質保証部では、ガバナンス強化およびリスクマネジメントの一環として、2018年度より品質マネジメント組織(関係会社含む)に対し品質マネジメント監査を実施しています。
2023年度は社内2部署および関係会社2社に加え、サプライチェーンにおける品質マネジメントの構築を目的として、製造委託先1社に対して監査を実施しました。重大なリスクや不適合はありませんでしたが、一部課題が確認されたことから、さらなる改善を図っています。

2023年度 品質マネジメント監査実績
監査方針 取引先・委託先管理を考慮し、営業部門に対して定期監査を実施する。従来の品質マネジメント組織に対しては、前回監査のフォローアップとSDCAによる日常管理の実施状況の確認を中心に実施する。
監査結果 被監査部署 不適合指摘 改善の機会 報奨
四日市工場 品質管理課 なし 3件 1件
営業本部 機能化学品部機能化学品Gr なし 3件 なし
関係会社A社 なし 2件 1件
関係会社B社 なし 3件 1件
製造委託先C社 なし なし 2件

5.化学品・製品安全化学品情報総合管理データベースの導入

化学物質管理に関する規制の頻繁な変化に対応するため、2023年に「化学品情報総合管理データベース」を導入しました。これにより、原材料や製品の有害性情報と各国の法規制情報を統合管理し、安全データシート(SDS)の迅速な作成・更新を実現しました。社内外のデータベースを連携させることにより、法規制情報や危険有害性情報の取得・更新が容易になり、お客様に最新情報を迅速に提供していきます。

化学品・製品安全化学品情報総合管理データベースの導入
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