気候変動対策

気候変動対策

気候変動対策図 気候変動対策図

カーボンネットゼロに向けた2つの実証事業

当社は、コスモエネルギーグループが宣言する「2050年のカーボンネットゼロと2030年のCO2排出量30%削減(2013年度比)」の実現に向けて、いくつかのプロジェクトをスタートしています。その一つが、2022年に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金(GI基金)事業」にコンソーシアムとして応募し採択された以下の2件です。いずれも、2030年の実装を目指して検討を進めています。

  • グリーンイノベーション基金:
    日本政府が掲げる「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションの大幅な加速を目指すことを目的に官民で野心的かつ具体的な目標を共有したうえで、これに経営課題として取り組む企業などに対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するもの。

1. アンモニア燃料のナフサ分解炉実用化

目標

ナフサ分解炉において、従来メタンを主成分としていた燃料をアンモニアに転換することで、燃焼時に発生するCO2を限りなくゼロにする。

概要

当社が保有するエチレンプラントでは、原料のナフサを熱で分解してエチレンなどの石油化学基礎製品を生産しています。このナフサを熱で分解する場所が「ナフサ分解炉」です。
ナフサ分解炉では、従来メタンが主成分の燃料を利用していますが、それをアンモニア燃料に転換できれば、燃焼時に発生するCO2が限りなくゼロに近づき、CO2排出量の大幅な削減になります。そして、石油化学業界全体のCO2排出量が削減し、カーボンネットゼロに向けた貢献が可能となります。
当社は、この実現に向けて、開発の一部であるナフサ分解炉の実証炉の操業などを実施してゆき、最終的には、アンモニア専焼商業炉での実証を完了して、社会実装していくことを目指します。

現在地

現在は、アンモニア燃焼を行うバーナーの開発、および、試験炉の開発を行っており、エチレンプラントを操業する立場から開発を支援しています。今後、試験炉の運転において性能の確認がとれた後に、実証に進んでいきます。

2. 廃プラスチックを原料とするケミカルリサイクル技術の開発

目標

ポリオレフィン系の廃プラスチックから、エチレンやプロピレンなどの石油化学基礎製品を高効率で直接製造する技術を確立し、環境に排出される廃プラスチックの削減や、化石資源を原料とすることで発生する温室効果ガス(GHG)の削減を目指す。

概要

廃プラスチックの削減や、化石資源(ナフサなど)を原料とすることで排出される温室効果ガス(GHG)の削減は世界的な課題です。これらの解決策として、化石資源の代わりに廃プラスチックを原料とするケミカルリサイクル技術があります。その中でも、国内の廃プラスチックの多くを占めるポリエチレンやポリプロピレンなどの「ポリオレフィン系プラスチック」の高効率なケミカルリサイクル技術の開発が強く望まれています。
当社では、エチレンプラントでエチレンやプロピレンなどの石油化学基礎製品を生産しています。そこで、ポリオレフィン系の廃プラスチックから、エチレンやプロピレンなどを高効率に直接製造する技術確立のために、その開発の一部として、当社のエチレンプラントのナフサクラッカーの製造設備やその運転のノウハウを活かした検討を行っています。
そして、廃プラスチックの削減や、化石資源を原料とすることで排出される温室効果ガス(GHG)の削減を目指します。

現在地

これまでに、触媒開発については短期テストで目標とするオレフィン収率(60%)以上の性能を確認しています。今後、ベンチ試験機でも性能試験を行い、次ステップであるパイロットスケール設計検討を進める計画です。当社としては、このプラントをエチレンプラントに接続するための最適化検討を進めています。

ケミカルリサイクルの流れ
  • *1ETO(Ethanol to Olefin):エタノールからエチレンなどのオレフィンを製造する技術
  • *2MTO(Methanol to Olefin):メタノールからエチレンなどのオレフィンを製造する技術

MESSAGE

取締役 常務執行役員 舟橋 克之 経営企画部・技術部・研究開発センター・機能性樹脂技術開発センター・千葉工場・四日市工場 担当
取締役 常務執行役員
舟橋 克之
経営企画部・技術部・研究開発センター・機能性樹脂技術開発センター・千葉工場・四日市工場 担当

当社は年間200万t以上のCO2を排出しており、その主な排出源はエチレンプラントの分解炉です。そのため、当社はグリーンイノベーション基金(GI基金)を活用して、分解炉の燃料にCO2を生成しないアンモニアを使用する技術開発に取り組んでいます。また、使用済みプラスチックのリサイクルによるCO2削減技術開発にもGI基金を活用しています。これら技術開発は重要ですが、大きなコストを伴うため、CO2削減の一丁目一番地は省エネルギーと考え、技術・製造部門の省エネルギー検討チームで知恵を絞り、省エネルギー案件を抽出、実行しています。

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