2019年09月30日
機能性樹脂事業を展開する機能化学品部ならびに研究所機能性樹脂関連部署は、2013年から取り組んでいる品質小集団活動により、財団法人日本科学技術連盟が授与する2018年度 日本品質奨励賞品質革新賞を受賞しました。日本品質奨励賞は、その組織にふさわしいT Q M(Total Quality Management:総合的品質管理)の実践を通じ、厳しい競争に勝ち抜く優れた企業を輩出することを目的とした賞です。その中でも、品質革新賞は、T Q Mを構成する諸要素について、他の組織の模範となる創造的で革新性をもった取り組み及びその成果が表彰されるものです。
評価のポイントは、従来の小集団活動の枠組みにとらわれない活動であり、当社は一連の取り組みの革新性・有効性・再現性が認められ、T Q Mの発展をもたらす革新性があると評価されました。
機能性樹脂事業では、半導体フォトレジスト用樹脂やその周辺材料の開発にも力を入れています。急激に事業拡大が進められた2010年当時、お客様からの試作要請への対応が中心となり技術提案が減少していました。また部署間連携意識の欠如により、不採用(不良)件数の増加や再発、その他「組織内リスク」が顕在化した結果、顧客満足度が低下しました。
そのため、組織の壁を越えた独自の品質マインド(顧客志向)を醸成することを目的に、2013年に研究所機能性樹脂品質統括課(現機能化学品部品質保証グループ)を事務局として「品質小集団活動」をスタートしました。
既存の小集団活動で陥りがちな現象を回避するための方針を策定し、機能性樹脂事業組織トップ(機能化学品部長)の強烈なリーダーシップと事務局の工夫によって活動を進めています。
活動テーマ
2013年 「品質」について考えよう
2014年 品質標語を作ろう
2015年 プロセスアプローチに対する認識を高めよう
2016年 品質活動の振り返り「自分を見つめ直す」
2017年 「質問会議」で問題の本質を掘り下げる!
2018年 「デザイン思考」で顧客が共感する価値を作り出す 提案編
2019年 「デザイン思考」で顧客が共感する価値を作り出す 実践編
活動の特徴
■チームは職場単位ではなく氏名のあいうえお順や誕生日順など、組織横断編成
■テーマは全チーム共通で年間1件
■発表はポスター形式で行い、表彰は発表会参加者の投票で決定
■必ずしも全員参加を強制しないなど、これまで見られなかった運営スタイルが特徴
■品質小集団活動は品質マネジメントシステム(QMS)と一体化しており、
マネジメントレビューの前後に発表や表彰を行うといった枠組みで運営
活動の成果
組織全体での品質マインド(顧客指向)醸成の結果、
●職場間コミュニケーションにより、職場の壁を越えて協力する品質保証活動の重要性を認識した
●顧客要求に対して「できない理由」から「どうすればできるか」を共有する組織風土に変えることができた
お客様から「提案力のない会社=将来性のない会社」と評価されていましたが、現在は先端技術製品のパートナーとしての選定、提案型サプライヤーとしての共同開発のオファーを受けるといった有形効果をあげました。
品質革新賞の受賞講演を聴講された複数の企業の方々からお問い合わせをいただいており、専門性が高く小集団活動の事例が少ない研究開発の職場における改善活動の難しさに、多くの企業が直面していることを実感しています。
我々の取り組みが、当社だけでなく各企業の競争力強化施策の参考になれば幸いです。今後も、今あるQMSに組織を合わせるのではなく、これからの組織活動に合った成果創出型のシステムとしていくことを目指し、さまざまな品質活動を推進していきます。