2016年09月30日
当社は、工場におけるプラントの省エネルギー化に積極的に取り組んでいます。プラントの省エネルギー化は製品製造コストの低減につながるだけでなく、CO2排出の削減をはじめとした地球環境への負荷軽減に大きく寄与します。これまでにさまざまな省エネルギー化を行ってきましたが、特に効果の大きかった投資について取り上げます。
当社の主力製品、エチレンやプロピレンの生産プラントである第三エチレン製造装置において、省エネルギーを図るために約100億円の設備投資を行いました。設備投資の具体的な内容は、「分解炉の更新、分解管の更新および燃焼用空気予熱器の増設による熱効率の改善とエネルギー原単位の改善」、「熱交換器の増設による熱回収量の強化」、「超高圧過熱蒸気の動力回収タービンの改造による省エネルギー化」です。
コンビナートのセンター会社として近隣各社に安定的に競争力のある製品を供給していくことが、当社の大きな使命の一つです。この投資はこうした使命を持つ当社の基礎化学品事業における国際競争力の強化をテーマとして行ったもので、省エネルギー、主製品であるオレフィンの収率改善など多くの効果をもたらしました。
1. 分解炉の更新・改造(新型炉導入)
2 基の分解炉を、より効率の高い新型炉に更新しました。
また、残りの炉では分解管を更新することで、オレフィン収率を改善しました。
さらに、煙道排ガスの廃熱を回収する燃焼用空気予熱器を増設することで、省エネルギーを図りました。
2. 精製系改造(熱回収熱交換器の増強)
分解炉の更新・改造に伴い、製品収率が変化することから、分解炉下流の精製系改造を行いました。
エチレンプラントでは、分解炉からの分解ガスを、油を使用し冷却しています。これまではこの急冷油から熱回収を行い、蒸気として回収していますが、一部は冷却水へ捨てられていました。
熱交換器を増強することで、この熱回収の強化を図りました。
3. コンプレッサータービンの改造
分解炉は、分解ガスの急冷熱交換器から熱回収する廃熱ボイラーを有しており、超高圧蒸気を発生させています。
この超高圧蒸気は、適当な蒸気タービンで動力を回収した後、リボイラー等でプロセス加熱に使用されていますが、一部は減圧弁経由で、減圧されてしまっていました。
超高圧蒸気の減圧弁経由による中圧蒸気の発生を減少させるべく、既設蒸気タービンの改造を行い、スチーム系全体の省エネルギーを図りました。
この結果、原油換算で年間約20,000KL もの省エネルギー化を達成することができました。